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すなわち都道府県単位に置き換えた場合、地域における金融市場には壁がない。

怜音です、日経によると筆者らは10~14年度の各都道府県のデータを用いて、寡占度が貸出金利に与える影響を分析した。
寡占度を示すハーフィンダール・ハーシュマン指数は、都道府県別の各金融機関の貸出残高シェアで計測した。
貸出金利は、帝国データバンク提供の個別財務データから計測した貸出金利のトリム平均を用いた。
筆者らの分析結果に基づけば、対象の複数のモデルのすべてで、寡占度が上昇すれば貸出金利は有意に低下し、貸し出しは有意に増えるという結果が得られている。
また係数の大きさも安定的であり頑健な結果が得られている。
このことは最近の地域金融市場では、市場構造成果仮説でなく効率 化仮説が支配的であること、すなわち金融機関の統合により規模の経済性が働き、貸出金利を押し下げられることを示唆している。
こうした結果が得られた背景として2点挙げられる。
第1に効率化仮説が指摘する点だ。
貸出先の情報収集コストが高い銀行が、情報収集コストの低い銀行に統合されることで、全体としてより低金利で貸し出しをできるようになる。
それ以外にも効率的な店舗配置や営業経費の削減も実現できる。
金融機関は規模の経済性のメリットを享受できる産業であり、規模が大きな銀行ほど経費率は小さいことが知られている。
第2に従来の研究でも指摘されるが、地域金融市場は都道府県単位で閉じているわけではない。
例えば放送局は、法令により放送対象地域が都道 府県など一定の範囲内に制限されており、その範囲を超えた放送の提供は認められていない。
これに対し、地域金融機関は営業エリアに法令上の定めがあるわけではない。
すなわち都道府県単位に置き換えた場合、地域における金融市場には壁がない。